DEVELOPMENT STORY

BACcT開発秘話

食品衛生検査システムBACcT誕生のきっかけ

日本細菌検査のプライドが詰まった検査システム
BACcT開発の経緯

BACCT開発秘話

「品質検査までおこなった後、契約をしたい」

昭和61年、ある水産食品の製造メーカー様に言われた一言。
この言葉が日本細菌検査の始まりと言っても過言ではない…

1980年代まで、日本細菌検査の前身である島久薬品株式会社は、食品添加物の製造販売を生業としていた。

当時は、添加物取引先の食品(水産)メーカー様の要請に応じて、開発部員が中国・タイ・フィリピン等
東南アジア各国を訪問し、食品添加物の使用法をはじめとして、食品の製造工程管理をおこなうことがあった。

そのメーカー様は言った。

「海外から魚を買うにあたって、品質を最重要視する。」

食品であるからだ。それはつまりこういうことだ。

食品の価格設定には「品質」が最も重要視される項目であること

輸入食品であることからの「買い手」の責任

日本細菌検査は、そのために必要な日本に輸入する食品の品質チェックを任された。
いわゆる原料買い付けのための検品、製造工程管理だ。

当時の開発部員はずっと漁船に乗り、来る日も来る日も検品の日々を過ごした。今となってはどれくらいの期間かわからない。

世界中のあらゆるところで日本への輸入水産物の品質チェックをおこなった。

彼ら開発部員は「結果」を「結果」としてそのまま報告することで、お客様から信頼をいただいた。

しかし、世界中を検品のために漁船に乗りついで飛び回ることは危険だ。事実、漁船に乗る開発部員の中には仕方なくリタイヤする者もいた。

自らの預かった社員が世界中のどこかで危険にさらされていないか。日本で仕事をさせたい。彼らにしかできない業務も日本にはある。

当時の小倉陽社長はそのように考えた。

90年代の現場をとりまく状況の変化とともに

そして、1990年代に入り、水産関係の食品を製造、販売するお客様が、ベトナムでコンシューマ向けの生食用冷凍魚を製造することを企画し、当社がその品質検査を依頼された。この商材はレストランやスーパーのバックヤードで、解凍するだけで一般消費者に提供する形態の商品であり、その加工工程で高度な衛生管理が要求された。当社はこの企画に協力する形で、開発部員が現地工場に滞在し、工程管理・衛生管理を担当することとなった。

衛生管理の業務の幅は確実に広がっていた。水産物はもちろん、食品関連のほぼ全てを手がけていた。
エリアを見ても東南アジア、ベトナムへの派遣など、世界各地に広がった。

当時ベトナムでは、微生物検査をおこなう公的な検査センターのような機関も少なく、出来上がった製品の検査をおこなうこともままならなかった。

日本から機材を持ち込むこともあったが、費用、労力、技術、全ての面で厳しいものがあった。
そのようなわけで、当時は、徹底的な衛生管理のもとで加工した製品ではあるものの、ベトナム国内で検査ができず、日本に輸入してからやっと正確な検査・衛生的評価ができるという状態が続いた。

ベトナム滞在の開発部員のそのような窮状を把握し、当時の小倉陽社長は、微生物検査セットの開発を決定した。

「だれでも細菌検査ができる機械をつくれ。

どこにでも持ち運べるものだ。

漁船に乗る組員や製造スタッフはもちろん、

日本の現場の人間まで、だれでもできる機械だ。

水産物、農産物から、加工食品、原料、

製造現場の衛生管理まで、全てに対応する機械だ。」

もちろん、この発言は波紋を呼んだ。
なぜなら、微生物検査セットの開発を指示された開発部は、当時は食品微生物検査についてのエキスパートというわけではなかったからだ。

当然、「そんなものはつくれません」という反論が返ってくることになる。

自社開発ができなければ共同開発、と様々な方向性で進めた。
だが聞こえるのはギブアップに次ぐギブアップの声。開発パートナーからも、だ。

考えてみれば今までに無かった機器をつくるわけであるから、「正解」が無いのである。あるのは望みのみ。

しかし、小倉は諦めなかった。

妥協すればできることはたくさんあった。

  • 持ち運べること
  • 現場の製造スタッフでもできること


こういった条件をひとつ除外すれば簡単にできたのかもしれない。 だがそこを妥協すると、この開発の意味がなくなってしまう。

当時の開発担当者は、食品の微生物検査手技を一つ一つ、徹底的に 検証することから始めた。
トライ&エラーを繰り返し、7年の歳月が過ぎた。

そしてついに全ての条件を満たしたBACcTが完成した。
1993年のことである。

品質管理 = 商売の要諦

BACcTの発売に際して、小倉はこう語った。

「7年の時間を使いましたがなんとも言えない気分です。日本ほど味だの鮮度だのとこだわる国は他にありません。
その日本が一番品質にうるさくなくてはいけない。
それはあくまでも【売り手】だけの義務ではなく、【買い手】もそうでなくてはなりません。
自分達が売る商品は自分が食べれるだけの安心材料がなくてはならないのです。
細菌検査に限らず検査というものは、都合のいいものも悪いものも目の前に見せてくれます。
その結果をどう活かすかが 品質管理=商売の要諦 であると今更ながら思います。」