今回の動画はBACcTチャンネル日本細菌検査の野﨑が株式会社八天堂の三代目社長の森光孝雅さんにインタビュー形式で広島県三原市から世界へ進出した戦略に迫ります。民事再生法に追われていたのにも関わらず、復活できたきっかけは何だったのでしょうか?
動画は主に3つの内容で構成されています 。
- 海外展開までの経緯
- 森光社長の描くビジョン
- スイーツパン一本に絞った理由
では順番に見ていきましょう。
海外展開までの経緯
さまざまな挑戦の中で、『ないもの』を作っていくのであれば日本にないものは世界にないと思った事が海外展開のきっかけです。動画の中で森光社長が「我々は『食』で勝負しているわけですから、胃袋相手にしているとも言えます。」と話されていることからもグローバル企業としての覚悟を感じます。
そもそも日本はどんどん人口が減少していくため、高齢化社会を迎えることになります。それに対してアジアを中心とした国々の人口はまだまだ増えていく傾向にあるのです。そこに目を向けた八天堂は、後世に残していくため先輩たちの思いをつなぎ海外展開を行っています。
とはいえ、いきなり海外に出たわけではありません。最初は広島県三原市から八天堂のくりーむパン(当時存在しなかったクリームパン)で東京を攻めました。日本でブランディングを図っていくには東京は欠かせないからです。
東京から全国、そして日本から世界へと進出していきました。八天堂の永続的な発展を考えると海外に打って出る必要があったわけです。
それをより確固たるものにするためにバックキャスティングという戦略に出ます。例えば、30年後の我が社の姿をできるだけ思い描きます。これがビジョンです。次にビジョンの実現のために20年後、10年度、5年後とこの1年をどうしていくのか考えていきます。
この戦略をもとに八天堂は2007年くらいからマイナーチェンジを繰り返してきました。よって、八天堂の未来を考えたとき、日本の人口推移を考えると海外展開は必然となったのです。
森光社長の描くビジョン
まだまだお客様の役に立っていくためにも質を高めていかないといけないと思っています。
クリームというのは商品と非常に相性がいいのです。よって商品開発においても販売においても基本的な戦略を立てました。
アライアンスとコラボレーションです。
というのも企業は、お客様や周囲の人たちに助けられている、応援しようと思われている事が本当に大切です。自分一人でできることには限りがあるからです。
そのことが数々の失敗の中で骨の髄まで染み込んでいます。失敗が続き、どん底から戻ってこられたのは、皆さんに支えられて引っ張り上げられたからです。
つまりアライアンス=色々な人と一緒になってやりましょう。コラボレーション=クリームと色々な素材を組み合わせて世に出していきましょう。
これが八天堂の打ち出す開発や販売における戦略です。
八天堂は冷やして食べるくりーむパンをお客様に支持される形でここまで来たのです。その事に感謝してこれからも品質にこだわっていきます。
スイーツパン一本に絞った理由
小売業態の自分の力・経営力というのはよくわかりました。
また新しい店、繁盛店を作ればいいのでは?と皆様から言われましたが、そんな簡単なものではありません。 というのも自身は13店舗拡大した時が一番ドン底でした。30代も後半で民事再生法の書類を手元にもっていたのです。この状態から99%復活はできないのです。追い込まれに追い込まれて、なぜ復活ができたのか?
1つは自身の考え方を変えることができたことです。仕事に取り組む姿勢が変わりました。そうしたら様々な人たちが力を貸してくれたのです。その中で、地域の方が「この地域にはこだわったパンがない」と言われたのです。こだわったパンとは、天然酵母か無添加とか地産地消のようなパンです。
パンと言えば、スーパーやコンビニには袋詰めしかなかったのです。つまりこだわったパンがありませんでした。
そこで小さいスーパーなどに飛び込み営業を始めるのです。こだわったパンを置いてもらえないか尋ねるとすぐに置いてもらいたいと言ってもらえました。
片っ端から県内のスーパーへの営業を始めたのです。こだわったパンに需要があることに気づけたのです。これによって3年でV字回復しました。
しかし、他のパン屋も同じことを始めたので、卸売業に限界を感じていました。そんな時に東京を見ていると一品専門店が出てきていたのです。そのことに加えて同じ三原市で創業昭和8年の共楽堂さんの存在も一本に絞るきっかけをくれました。本店も近く中学時代の後輩が東京に商品を売りに行ったのです。その商品が『ひとつぶのマスカット』です。売り上げも右肩上がりで帰ってくるたびに「東京はほんとにすごいですよ。」と話してくれていました。そんな彼の姿勢もあり行動に移せたのです。
よって一品の開発にかけることができました。
いかがだったでしょうか?今回は、海外展開の経緯から一本に絞った理由まで解説しました。V字回復してもまた次の困難がやってきます。
次回は、それでも諦めない森光社長の姿勢が、お客様の声を通して、いよいよ八天堂のくりーむパンを完成させます。それだけでなく日本細菌検査(BACcT)との関係性にも迫りますので、ぜひご覧ください。
今回の動画はこちらです。
本記事の【#3】はこちらです。
くりーむパンの八天堂〜品質へのこだわりとくりーむパン誕生秘話