【元々〇〇の会社だった!?】ポムの樹でおなじみのポムフードの歴史とビジネスに迫る【経営者インタビュー/ポムフード】 

今回の動画はBACcTチャンネル日本細菌検査の野﨑がポムフードの代表取締役専務の出原さんにインタビュー形式で、ポムフードの歴史とビジネスに迫ります。

「ポムの樹」で知られるポムフード株式会社は、レストラン直営、FC展開、冷凍オムライスの小売販売という3本柱の事業を展開しています。建設資材事業からの転身というユニークな背景を持ちながら、“現金商売”への転換としてフランチャイズに着目し、オムライス専門店として全国展開へ。現在では「衛生は仕組みで守る」という理念のもと、現場の定量化・定質化を徹底しながら、BACcT検査システムなどを導入し、リスクに強い衛生体制を築いています。そんなポムフードの歴史に迫ることで、衛生管理における新たな視点を見つけられるかもしれません。

動画は主に5つの内容で構成されています。 

①ビジネスの概要について 
②ポムフード開業のきっかけ 
③ポムの樹は順調なスタートだった? 
④創業期に苦労したこと
⑤食品衛生にかける想い 

では順番に見ていきましょう。 

ビジネスの概要について

ポムフードは、 

  • レストランチェーンとしての直営店舗
  • FC(フランチャイズ)展開による提携ビジネス
  • 冷凍オムライスの販売を担う小売部門 

という3つの柱によって構成されており、食の提供から製品流通まで、幅広い消費シーンに対応する体制が整っています。 ブランドの中心にある「ポムの樹」は、大阪府枚方市で約30年前に誕生し、オムライス専門店として多くの人に親しまれてきました。 
現在では全国的にも社会的認知度が高く、品質と衛生管理の信頼性に裏付けられたブランドとして広く定着しています。 

②ポムフード開業のきっかけ

ポムフード開業の誕生には、時代の転換点とともに建設業界からの大胆な業種転換という背景がありました。起業者は、当時建設資材の製造を手掛けていた男性で、企業の役員を務めながら自らもビジネスを展開する、起業家としての素養を備えていました。 

建設業界が「コンクリートから人へ」という政策転換の影響を受け、予算が縮小し、手形中心の商習慣による資金繰りの厳しさに直面。そこで「現金商売」に目を向け、鹿児島県には未進出で清潔感のあるフランチャイズ業態として、「不二家」や「ポムの樹」などに着目しました。 

結果的に業界転換へのノウハウがないので、フランチャイジーという形で、ノウハウを借りて事業をやっていこうと考えていたのです。 

ポムの樹は順調なスタートだった?

ポムフード株式会社が展開する「ポムの樹」は、大阪府で第1号店をオープンしました。この選択には、立地の利便性やマーケットへの理解が深い地域であることに加え、 「1号店は絶対に成功させたい」というディベロッパーからのアドバイスが大きく影響していたといいます。 

その後、鹿児島・宮崎・熊本といった南九州エリアに拠点を広げ、計画的なフランチャイズ展開によって安定したスタートを切りました。 

創業期に苦労したこと 

もともとフランチャイジーとして「ポムの樹」を運営していた株式会社大建は、2009年にフランチャイザー側の財務不調をきっかけに、運営権を100%取得。株式会社大建が事業を継承するかたちで本格的な展開が始まりましたが、買収後は“企業文化の違い”による壁が立ちはだかりました。 

重飲食業※ならではの難しさ、手作りにこだわる品質管理、そして店舗ごとの衛生基準。ポストマージャーインテグレーション(PMI)※では、「教育」から着手し、理念の設計 → 組織方針の再構築 → 共通言語の整備という手順で、少数の賛同者から徐々に組織全体の理解を得ていきました。5年の歳月をかけて体制を整え、10年後には累積損失も回収し、品質・衛生・ブランドのすべてに一貫した企業文化が根付いたのです。 

重飲食業とは、厨房を備えて火を扱い、本格的な調理を行う飲食の業種になります。 

ポストマージャーインテグレーション(PMI)とは、買収した企業と買収された企業の組織、文化、業務プロセスなどを実際に統合し、M&Aの目的であるシナジー効果を最大化するための重要な取り組みです。 

食品衛生にかける想い

食品を扱う事業において、リスクをゼロにすることは現実的ではありません。だからこそ、ポムフードでは「外部との接触を最小限に抑える」「内部の仕組みを整える」ことを重視し、衛生管理の自走化を目指しています。 

ここで言う“仕組み”とは、誰もが言われなくても自然に実行できる状態のこと。属人的な対応ではなく、定量化・定質化された衛生管理を実現するための基盤として、日本細菌検査株式会社の微生物検査システム「BACcT(バクット)」を導入しました。 

食品はリスクゼロが難しい分野だからこそ、衛生管理の“仕組み化”こそが安全の要。ポムフードでは、理念から教育、仕組み、検査体制に至るまで一貫したマネジメントを構築し、顧客に「おいしさと安心」の両方を届け続けています。 

本記事を通じて、食品流通に関わるすべての方々が「衛生の仕組づくり」のヒントを得られることを願っています。 

今回の動画はこちらです。 

次回の記事はこちらです。

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