
今回の動画はBACcTチャンネル日本細菌検査の髙橋が株式会社の一蘭の広報部の緒方さんにインタビュー形式で、衛生管理の取り組みに迫ります。
一蘭といえば「味集中カウンター」や「15秒の掟」など独自の仕組みが有名ですが、その裏側には徹底した衛生管理と品質保証の思想が息づいています。
品質管理・衛生管理に携わる方にとって、参考になるポイントが随所にありましたので、現場視点で整理してお届けします。
動画は主に8つの内容で構成されています。
①一蘭(小室店)について
②味集中カウンターが生まれた経緯
③15秒の掟
④ラーメンの品質管理について
⑤衛生管理について
⑥従業員教育について
⑦今後の展望について
⑧天然とんこつラーメン 試食
では順番に見ていきましょう。
①一蘭(小室店)について

店舗入口にはお土産コーナーが並び、食券購入後は空席案内モニターで席の状況を一目で確認できます。この“迷わせない動線設計”は、客の滞留を防ぎ、厨房・客席の衛生状態を安定させる効果もあります。客席の特徴は、味集中カウンターとなっていて、着席するとそれぞれのお好みでメモに書くことになります。従業員と特に会話することなく終えられるシステムが必要になってきます。
②味集中カウンターが生まれた経緯

一蘭独自の「味集中カウンター」は、創業者・吉冨氏が学生時代に飲食店で働いた経験が原点です。
当時、同じレシピでも“誰が作るか”によって味の印象が変わることに気づき、「作り手の情報が味の評価に影響してしまう」という課題を感じたといいます。そこで自身の店を立ち上げる際、吉冨氏は作り手の存在を完全に遮断し、純粋に“味そのもの”だけで評価される環境をつくることを決断しました。これが味集中カウンター誕生の背景です。また、顔が見えない環境だからこそ、従業員はより丁寧な調理・接客を心がけるようになります。
緒方さんは、「見えないからこそ、声のトーンや所作、笑顔といった“伝わるホスピタリティ”を大切にしている」と語っていました。
味の均一性と顧客体験の質を両立させるための“仕組み化された接客”が、一蘭の強みとして根付いています。
③15秒の掟

一蘭では、ラーメンが完成してから提供までを15秒以内と定めています。
そのため、店舗設計段階から「厨房から席までの距離は最大28.8m以内」と決められています。
これは、
- 温度劣化
- 麺の伸び
- スープの乳化状態の変化
といった品質劣化リスクを構造的に排除する設計思想です。
食品工場でいう「工程設計の段階でリスクを潰す」アプローチと同じで、飲食店としては非常に先進的です。
④ラーメンの品質管理について

品質管理の工夫では大きく2つのポイントがあります。
①温度管理の徹底
毎日届く食材は、温度変化を起こさないよう即時冷蔵が徹底されています。
“届いたらすぐしまう”は当たり前のようで、実際には徹底が難しいポイント。
ここを仕組みとして守っているのは大きな強みです。
➁調理マニュアルの精緻さ
麺の湯切り回数まで規定されており、全店で同じ味を再現するための標準化が徹底されています。
属人化を排除し、品質のバラつきを抑える仕組みが細部まで作り込まれています。
⑤衛生管理について

一蘭の衛生管理は大きく3つの柱で構成されています。
① 清掃管理(店舗清掃チェック表)
- 客席・厨房の清掃状況を可視化
- 4時間ごとにセクションを区切り、店舗全体を巡回消毒
- 退店ごとにアルコール消毒を実施
「清掃の抜け漏れを仕組みで防ぐ」運用が徹底されています。
② 従業員衛生(手洗い・体調チェック表)
- 手洗い頻度の管理
- 体調チェックの記録
- 衛生リーダーを配置し、現場の衛生文化を維持
“手洗いの徹底”を記録と役割分担で文化として根付かせている点が特徴です。
③ 調理衛生(調理チェック表)
- 食材の取り扱い
- 温度管理
- 調理工程の遵守
さらに厨房は完全ドライ化されており、
- 床に水気がない
- 長靴ではなく安全靴
という、ほぼ食品工場と同等の環境が整えられています。
SWAB-Proを活用した“150項目の色彩チェック”

一蘭では毎月、店長による衛生チェックを実施。
その中で、弊社のSWAB-Proを活用した色彩チェックが行われています。
対象は、
- 丼
- 替え玉皿
- トッピング皿
- レンゲ
- 箸
など、150項目に及ぶ徹底ぶり。
「見えない汚れ」を可視化し、衛生レベルを維持するための重要な工程となっています。
⑥従業員教育について

衛生リーダーを中心に、
- 手洗い教育
- OJT(現場での実践指導)での衛生指導
- ダスター管理
- 厨房の水気管理
などを実施。
さらに、独自のライセンス制度で従業員のモチベーションを高め、衛生文化を組織として維持しています。
⑦今後の展望について

国内80店舗、海外8店舗を展開する一蘭ですが、フランチャイズは一切行っていません。理由はただ一つ。「味の品質を守るため」
流通や調理環境が異なる海外では、品質維持が難しいため、直営での管理にこだわっています。品質保証の観点から見ても、極めて合理的な判断です。
⑧天然とんこつラーメン 試食

一蘭の天然とんこつラーメンは、麺・スープ・タレのすべてが“再現性の高い品質”を前提に設計されています。特に象徴的なのが、中央に添えられた赤い秘伝のタレ。豚骨スープに混ざることで香りと辛味が立ち上がり、味の一体感が増すよう緻密に調整されています。麺はスープとの絡みを最大化するために細さ・硬さが規格化されており、どの店舗でも同じ食感を再現できるよう管理されています。
チャーシューは非常に薄くスライスされており、これは「ラーメン全体のバランスを崩さず、スープと麺の一体感を損なわない厚さ」を追求した結果だといいます。
今回試食した弊社の髙橋も学生時代から一蘭に通っており、
“どの店舗でも同じ味が出る”という一蘭の品質の安定性を改めて実感していました。
味の裏側には、店舗運営・調理工程・衛生管理の徹底があり、その積み重ねが「一杯の品質」を支えていることがよく分かる試食となりました。
“品質は偶然ではなく、設計と運用でつくるもの”という考えが伝わってきたのではないでしょうか。一蘭が飲食店の枠を超えて食品工場レベルの衛生管理を行っている姿勢は、品質管理に携わる方にとっても参考になるポイントがたくさんあります。
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