【おかんパン誕生の秘密】幸せを届けるパン屋の経営戦略と衛生管理に迫る【ダイヤ/経営者インタビュー】 

今回の動画はBACcTチャンネル日本細菌検査の野﨑が株式会社ダイヤの代表取締役社長の多田さんにインタビュー形式で、経営戦略と衛生管理について迫ります。 

株式会社ダイヤは、HACCPの考え方を取り入れた新認証基準「大阪版食の安全安心認証制度」を取得し、食品衛生に徹底して取り組む企業です。今回は、ヒット商品「おかんパン」誕生の裏側から、同社が大切にしてきた食品衛生の考え方まで、幅広くお話を伺いました。 

動画は主に7つの内容で構成されています。 

①おかんパンについて 
②おかんパンのコンセプトについて 
③想定より遥かに売れたおかんパン 
④ダイヤの特徴について 
⑤ものづくりのこだわりについて 
⑥食品衛生に対する想い 
⑦経営理念「パンdeしあわせ」 

では順番に見ていきましょう。 

おかんパンについて 

今回の商品開発の背景には、コロナ禍で大きく落ち込んだ売り上げを何とか立て直したいという強い思いがありました。とくに大阪万博を一つの目標に据え、「観光のお客様に向けて、目玉となる商品をつくれないか」という発想が最初のきっかけになったそうです。 

2020年3月頃から売り上げは急激に厳しくなり、最も落ち込んだ時期には通常の6割まで下がりました。店舗型ビジネスであるベーカリーカフェは、緊急事態宣言中に軒並みクローズせざるを得ず、経営者にとっては恐ろしいほどの状況だったといいます。それでも従業員が一丸となり、この危機をなんとか乗り越えることができましたと、多田さんは振り返っていました。 

新商品の開発は2022年頃から構想が始まり、規格づくりに時間をかけながら進めていきました。「おかんパン」に使用しているパンは消費期限を2週間に設定していますが、実際には3週間の保存試験にも合格しています。あえて2週間としたのは、お土産として持ち帰り、配るまでの期間を考慮した“安全側の設定”です。 

また、パンの包装にはエージレスを採用し、品質保持の工夫も行っています。こうした検査や素材選定を並行しながら、商品としての完成度を高めていったのです。 

おかんパンのコンセプトについて 

  

コロナ禍をきっかけに、会社として改めて「どこを目指すのか」を見つめ直した結果、Cookhouseは一つの明確なゴールを定めました。 

それは――“大阪のパン屋といえばCookhouse”と認知してもらうことです。 

これまでCookhouseは、日常使いのお客様を中心に店舗を展開し、地域に根ざしたパン屋として歩んできました。しかし、大阪万博を控える中で、「大阪の外から訪れるお客様にも、Cookhouseのパンを手に取っていただきたい」という思いが強くなっていきました。 

そのために選んだアプローチが、“お土産として持ち帰れる商品”の開発です。日常のパン屋としての強みを活かしながら、観光客にも喜ばれる形に仕上げることで、Cookhouseの存在をより広く知ってもらう。 

この方向性が、今回の商品づくりの大きな柱になりました。 

想定より遥かに売れたおかんパン 

「おかんパン」は、製造から包装、箱づくりに至るまで、すべてが手作業で行われています。そのため大量生産が難しく、当初は「そこまで売れる商品にはならないだろう」と考えていたそうです。販売チャネルもダイヤの直営店に限定し、1店舗あたり1日1〜3個売れれば十分という想定でした。むしろ、売れ残った場合にどう対応するかを心配していたほどです。 

しかし、2024年7月の発売後、状況は大きく変わりました。とくに8月のお盆期間には観光客が一気に増え、想像を超えるスピードで売れていったのです。午後に来店したお客様から「もう無いのか」と問い合わせの電話が入るほどで、製造が追いつかない日が続きました。とはいえ、すべて手作業である以上、急に生産量を増やすにも限界があります。現在の最大生産量は1日3,000個が精一杯とのことです。 

帰省のタイミングで「大阪のお土産」として購入されるケースが多く、大阪らしさがしっかり伝わっていることも人気の理由の一つです。さらに、インバウンドの増加を受けて、パッケージに各国の言語で“お母さん”を表現してみてはどうかというアイデアも社内で検討が進んでいます。 

「『おかん』という言葉は、私たちだけのものではなく大阪の文化そのもの。だからこそ、大阪の会社がこの言葉を取り入れてくれたら嬉しい」と、多田さんは語ってくれました。 

④ダイヤの特徴について

Cookhouseの店舗は、比較的交通の便が良い場所に多く立地しています。本社工場で毎日パンを焼き上げ、そこからトラックで各店舗へ配送することで、できたてのパンをお客様に届けられる体制を整えているからです。地域に根ざした企業として、日常の中で“おいしいパンがすぐ手に入る存在”であり続けることを大切にしています。 

駅近くのテナントに出店する場合、オーブンを置けないなど設備面の制約が多く、一般的なベーカリーでは出店が難しいケースも少なくありません。しかし、ダイヤでは工場でパンを製造するため、店舗側に大きな設備を必要としません。だからこそ、立地の自由度が高く、どこでもパン屋として展開できるという強みがあります。 

この“工場一体型の製造・配送モデル”が、地域のお客様にとっての利便性と、Cookhouseブランドの安定した品質を支える基盤になっているのです。 

ものづくりのこだわりについて 

ダイヤでは、基本的に多くの素材を自家製で仕込んでいます。小麦粉の配合やクリームのブレンドなどもすべて独自に調整し、理想の味を自分たちの手でつくり上げているのです。こうした“ひと手間”を惜しまない姿勢こそが、ダイヤのものづくりの根っこにあります。 

既製品を使えば効率は上がりますが、あえて自分たちでブレンドすることで、他にはない味わいを生み出せる。違いをつくることに意味がある――その考え方が、日々の製造工程にも息づいています。 

食品衛生に対する想い 

「お客様に安心して商品を買っていただくことが大前提です。」 

多田さんは、まずその一点を強調されていました。アレルギーへの配慮や、お腹を壊さないための衛生管理をどう担保するのか――その問いから、7年前に弊社との取り組みが始まったといいます。味は“安心・安全”という土台の上に成り立つものだという考え方です。 

たとえば、翌朝8時にサンドイッチを食べたいお客様がいるとします。その場合、どのような環境で製造すべきなのか、どの時間帯に仕込む必要があるのか。食品検査の結果を踏まえながら、シフトや作業工程を見直し、最適な体制をつくり上げてきました。こうした積み重ねこそが、現在の品質と信頼につながっていると多田さんは語ります。 

安心・安全を守るための取り組みが、日々の現場の動きや働き方にまで反映されている――その姿勢が、ダイヤのパンづくりの根幹を支えているのです。 

経営理念「パンdeしあわせ」 

従業員の全員がパンdeしあわせという単語を知っています。この言葉を経営理念として再定義したいなというところで2022年に再定義したのです。パンを食べていただくお客様であったり、パンを作るわたしたちであったり、パンに関わる弊社を含めた取引先全て商売上関わる全ての人たちがしあわせであってほしいということです。地域の小学校の見学や中学生の就労体験など幅広く地域と連携しているのです。 

ダイヤが大切にしているのは、パンづくりの技術だけではありません。「安心して食べてもらえること」を最優先に、衛生管理・品質管理の仕組みを磨き続けてきました。コロナ禍で売上が大きく落ち込む中でも、従業員が一丸となって挑戦を続け、その結果として生まれたのが「おかんパン」という新しい価値です。 

手作業にこだわった製造、独自ブレンドによる味づくり、工場一体型の配送体制、そして“パン de しあわせ”という理念の再定義。これらすべてが、ダイヤのパンを支える土台になっています。 

地域に根ざしながら、大阪の魅力を全国・世界へ届けていく。 

その姿勢は、食品衛生の専門性と、ものづくりへの誠実さが結びついたダイヤならではの歩みと言えるでしょう。 

今回の動画はコチラです。

【おかんパン誕生の秘密】幸せを届けるパン屋の経営戦略と衛生管理に迫る【ダイヤ/経営者インタビュー】